公演名 白石加代子 百物語シリーズ 第三十二夜  第九十九話ファイナル公演
公演日 平成26年8月8日(金)
時間 開場18:30 開演19:00
料金 全席指定 前売\4,000   当日\4,500
※未就学児の同伴・入場はご遠慮ください。
※チケットお届けご希望の方には、入場券を代金引換にてお送りいたします。(入場券代金のほかに代引料金をご負担いただきます。)
ホール 小ホール
主催 NPO音更町文化事業協会 ・ 十勝毎日新聞社
共催 音更町 ・ 音更町教育委員会 ・ (公財)北海道文化財団
後援 北海道文化放送 ・ 北海道
お問合せ 音更町文化センター  TEL(0155)31-5215   FAX(0155)31‐5229
前売りチケット
取り扱い
音更町文化センター (0155)31-5215
ハピオ木野 (0155)31-2222
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藤丸チケットぴあ[藤丸5F] (0155)24-2101
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構成・演出  鴨下信一
出演  白石加代子
 
第九十八話 三島由紀夫「橋づくし」
 陰暦八月十五日(旧暦)の夜、新橋の料亭・米井の娘、満佐子は、芸姑こ小弓、かな子と一緒に願掛けに出かける。満佐子の願いは「俳優のRと一緒になりたい」、かな子は「好い旦那が欲しい」、四十二歳の芸姑の小弓は「お金が欲しい」のである。
 三人の願いは簡明で、正直に顔に出ていて、実に人間らしい願望だから、月下の道を歩く三人を見れば、月はいやでもそれを見抜いて、叶えてやろうという気になるにちがいない。
 三人と、満佐子の家の新米女中のみながお供に加わる。
 願掛けのルールは、@七つの橋を渡るときに々道を二度通ってはいけない A今夜の願い事はお互いに言ってはならない B一度知り合いから話しかけられたら願はすでに破られている C橋を渡る前と渡ったあと、それぞれ四回お祈りをすることである。
 願掛けの結果は、四人のうちみなという女中だけがルール通りに七つの橋を渡りきる。このみなの願い事だけ他の三人にも、ましてや読者にも伝えられることはありません。

 三島由紀夫の「橋づくし」は、築地界隈を舞台に、陰暦八月十五日の満月の夜に七つの橋を渡って願掛けをする女たちの悲喜こもごもを巧妙に描いた作品。優れた技巧と構成で、多くの文芸評論家や作家から、短編の傑作として高い評価を受けています。
 美しい日本語の旋律で紡ぎだされる三島由紀夫の独特の世界。
 「百物語」には満を持しての初登場となります。花柳界の三人の女とみなという普通の女という対照的な女性たちを白石はどう演じ分けるのか、興味は募ります。
第九十九話 泉鏡花「天守物語」
 「言葉の中にこそ、至純の心があり、至純の愛がある」、それこそが演劇ではないだろうか。そういう意味ではこの「天守物語」は演劇の中の演劇である。

時、不詳。ただし封建時代―晩秋。日没より深更にいたる。
所、播州姫路。白鷲城の天守、第五重。
登場人物、天守夫人、富姫。・・・・
侍女五人。桔梗、女郎花、萩、葛、撫子。各々名にそぐへる姿、鼓の緒の欄干に、あるいは立ち、あるいは坐て、手に手に五色の絹糸を巻きたる糸枠に、金色銀色の細き棹を通し、糸を松杉の高き梢を潜らして、釣りの姿す。

 このように第九十九話目は、優雅にゆるやかに幕を開け、逃げた鷲を追い求めて、天守にやってきた図書之介と名乗る若き武者の登場と共に急展開を始めます。禁断の場所に踏み込んだ若者の命をとるべき姫が、その若者に恋をした。禁断の愛は、命をかけた至純の恋へと昇華していく。
 「百物語」の演出家鴨下信一は、九十話を終わるころから、最後の話を何にするか考え始めたとき、次第にこの「天守物語」に焦点を定めはじめました。
 「見えるものを取り除いたとき、それまで見えなかったものが見えてくる。心の目で見る世界こそ、真実がある」とシェイクスピアはハムレットに語らせています。「百物語」はまさに、心の世界で繰り広げられるスペクタクルです。
 白石加代子によって語られる言葉と共に、物語の現場へと観客は連れ去られる。それは心の風景の現場です。その心の風景の中では、さまざまな不思議で怪奇な出来事が繰り広げられているのです。
 そして今回の「天守物語」は、物語の風格、深さ、美しさ、激しさ、すべての面において、「百物語」の最後を飾るのにふさわしい作品といえるでしょう。
 
「百物語」について
 白石加代子「百物語」シリーズは、明治から現代の日本の作家の小説を中心に、「恐怖」というキーワードで選び、それを白石加代子が朗読するという形で出発した。
 上田秋成「雨月物語」、泉鏡花「高野聖」」、坂口安吾「桜の森の満開の下」、江戸川乱歩「押絵と旅する男」、という幻想文学の傑作作品から、半村良「箪笥」、筒井康隆「五郎八航空」、阿刀田高「干魚と漏電」、高橋勝彦「遠い記憶」、宮部みゆき「小袖の手」、小池真理子「ミミ」といった現代作家の人気作品まで幅広いレパートリーと白石加代子の朗読という枠を超えた立体的な語りと動きの上演で人気を博している。

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